シロウマからの手紙

あなたの答えになりますように。小説や漫画の感想をつらつらと書いていくブログです。

原田マハ『あなたは、誰かの大切な人』

著者を知ったきっかけは『旅屋おかえり』を読んだとき。わたしが読んだいくつかの作品は、どれも心の奥底がほんのりとあたたかくなって、さいごはクスッと笑えるものばかりだ。

 

 

『あなたは、誰かの大切な人』という、素敵なタイトルに書店で目を奪われ気がついたら購入していた。いつかは訪れる両親との別れや仕事に悩みながら、大切な人の存在に気づいていく。そんな40代50代の独身女性たちを描いた作品が6つ収録されている。

 

【 目次 】

  • 「最後の伝言」
  • 「月夜のアボカド」
  • 「無用の人」
  • 「緑陰のマナ」
  • 「波打ち際のふたり」
  • 「皿の上の孤独」

 

それぞれが短編小説になっているので、気になる見出しから読み始めることもできる。(アマンダという女性を覚えておくとなにか発見があるかもしれない。)

 

年のはなれた友が教えてくれる

なかでも「月夜のアボカド」に好きなシーンがある。

日本でアートコーディネーターとして働くマナミ(39)には、ロサンゼルスに年上の友だちが2人いる。メキシコ料理が得意なエスター(79)と、仕事を通じて知り合い仲良くなったアマンダ(69)だ。エスターは60歳のときに、セールスマンだったアンディと2回目の結婚をする。4年という短いけれど幸福な結婚生活をおくるまでに、本当にたくさんのことがあったと話してくれたときの最後のことば。

 

でもね、いちばんの幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。

大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。

笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。

それこそが、ほんとうは、何にも勝る幸福なんだって思わない?

 

色んなことを経験してきたエスターのことばだからこそ、そうだね、と思えたし、エスターが幸せになってよかった。「月夜のアボカド」以外も、背中をそっと押してくれる作品ばかりなので「このままで、いいのかな」と、悩んでいるあなたに、読んでほしい一冊です。

 

 

 『生きるぼくら』を読んだときには、号泣したのを覚えている。そのあと読んだ『ジヴェルニーの食卓』は、いまのわたしには難しくて少しだけ読んで断念したので、いつかリベンジしたい。